身体基準のある職種

職務の性質により、通常よりも体力を必要とする職種があります。そのような職種の採用試験では、教養・論文試験等の学力試験、 適性検査・面接試験等の人物試験のほかに、身体検査、体力検査を設けています。

警察官、消防官、入国警備官、皇宮護衛官、刑務官、衆議院・参議院衛視などです。

また、上記職種も当てはまりますが、職務上視力・色覚・聴力が必要となる職種もあります。 自動車運転免許にも視力の規定があるように、航空機、船舶、電車等に関連する職業でも最低視力・色覚・聴力の規定があります。

身体基準は近年緩和傾向(従来より緩くする又は基準を設けない)にありますが、職種・自治体等により異なり、 年度により変更になることもありますので、必ず募集要項で確認ください。

消防士の身体・体力基準について

消防官としての職務を遂行するにあたり、必要となる身体、体力及び健康度については、第一次選考(教養、論文、適性試験等)を パス後の第二次選考で検査されることが多くなっています。

平成30年度東京消防庁消防官(専門系)では、第二次選考の身体・体力検査で、
身長(男性おおむね160cm以上、女性おおむね155cm以上)
体重(男性おおむね50kg以上、女性おおむね45kg以上)、胸囲(身長のおおむね2分の1以上)
視力(矯正視力を含む視力が両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上であること。赤色、青色及び黄色の色彩の識別ができること)
聴力(正常であること)、肺活量(男性おおむね3000cc以上、女性おおむね2500cc以上)
体力検査(1km走、反復横とび、上体起こし、立ち幅飛び、長座体前屈、握力、腕立て伏せ)と健康診断を行います。

身体・体力の基準は各市等で異なり、大阪府堺市(平成29年度大卒程度)の場合は、体力試験は第一次試験で行い、内容は、 握力、上体起こし、長座体前屈、反復横とび、20mシャトルラン、立ち幅とび。第二次試験で行われる身体検査の基準は、 視力が矯正視力を含み両眼で0.7以上かつ一眼でそれぞれ0.3以上、赤色、青色及び黄色の色彩の識別ができること等、となっています。

身体、運動機能等の基準に関しては、各採用試験要項に記載されていますので、必ず確認ください。また、記載の無い項目について 不安のある方は、受験先に問い合わせてみてください。

警察官の身体・体力基準について

警察官採用試験では、いずれの都道府県でも筆記試験のほかに体力試験、身体検査を行います。 職務執行上必要な体力と支障のある疾患の有無を確認します。

平成30年度警視庁警察官採用試験での身体要件は、
身長(男性おおむね160cm以上、女性おおむね154cm以上)
体重(男性おおむね48kg以上)、女性おおむね45kg以上)
視力(裸眼視力が両眼とも0.6以上、又は矯正視力が両眼とも1.0以上)
色覚、聴力、疾患(警察官としての職務執行に支障がないこと)。
体力検査では、腕立て伏せ、バーピーテスト、上体起こし、反復横跳び(種目は変更する場合もあります)を行います。

平成30年度兵庫県警察官採用試験では、身体基準(身長・体重)が撤廃されました。また、体力検査の実施基準を 公表し、受験しやすくしました。体力検査実施基準は、
握力(男性44kg以上、女性26kg以上)、腕立て伏せ30秒間(男性27回以上、女性16回以上)
上体起こし30秒間(男性21回以上、女性15回以上)、反復横跳び20秒間(男性45回以上、女性40回以上)
20mシャトルラン(男性50回以上、女性25回以上)で、20mシャトルランのみ合格基準(基準を満たしていない場合は不合格)です。

平成30年度鹿児島県警察官採用試験でも、身体一般検査における身長及び体重の合格基準を撤廃しています。身体検査合格基準 (すべて満たす必要がある)は、
視力(両眼とも左眼視力が0.6以上又は矯正視力が1.0以上)
色覚・その他(職務遂行に支障のないこと)となっています。
体力検査合格基準は、4種目中3種目以上合格基準を満たすこと。(3種目合格基準を満たしていても、残りの1種目が一定の基準に達していない場合は不合格になる)
腕立て伏せ 2秒に1回のリズムで(男性24回以上、女性16回以上)
上体起こし30秒間(男性21回以上、女性15回以上)
時間往復走15秒間(男性42m以上、女性35m以上)
20mシャトルラン(男性76回以上、女性44回以上)

以上、3都県の採用基準でも違いがあります。受験希望者は必ず受験する都道府県警の採用サイトで要項を確認してください。

国家公務員の身体・体力基準について

身体・体力基準のある国家公務員について、まとめました。(詳しくは人事院にある募集要項を確認ください。)

皇宮護衛官は、天皇皇后両陛下や皇族各殿下の護衛と皇居、御所等の警備に従事します。身体基準は、
身長(男子160cm、女子148cm以上)、体重(男子48kg以上、女子41kg以上)
視力(裸眼又は矯正視力で、一眼0.5以上、両眼0.8以上)、色覚(職務遂行に支障ないこと)、四肢運動機能が正常。
体力基準は、立ち幅飛び(男子205cm以上、女子147cm以上)、反復横跳び20秒間(男子44回以上、女子37回以上)、 上体起こし30秒間(男子21回以上、女子13回以上)が基準値となり、基準値に達しないものがひとつでもある場合は不合格です。

刑務官は、刑務所、少年刑務所又は拘置所に勤務し、被収容者に対し、日常生活の指導、職業訓練指導、悩みごとに対する指導などを 行うとともに、刑務所等の保安警備の任に当たります。身体基準は
身長(男子160cm以上、女子148cm以上)、体重(男子47kg以上、女子40kg以上)
視力(裸眼視力がどちらも0.6以上(ただし矯正視力が両眼で1.0以上の者は差し支えない))、四肢運動機能正常。
体力基準は、立ち幅飛び(男子205cm以上、女子147cm以上)、反復横跳び20秒間(男子44回以上、女子37回以上)、 上体起こし30秒間(男子21回以上、女子13回以上)が基準値となり、基準値に達しないものがひとつでもある場合は不合格です。

入国警備官は、全国の地方入国管理局、各入国者収容所入国管理センター等において、不法入国者や不法滞在者など違反事件の調査、 収容令書又は退去強制令書を発付された外国人の摘発、違反調査、収容、護送、送還などに従事します。身体基準は、
身長(男子160cm以上、女子148cm以上)、体重(男子47kg以上、女子40kg以上)
視力(裸眼視力がどちらも0.6以上(ただし矯正視力が両眼で1.0以上の者は差し支えない))、色覚(職務遂行に支障ないこと)、 四肢運動機能が正常。
体力基準は、立ち幅飛び(男子205cm以上、女子147cm以上)、上体起こし30秒間(男子21回以上、女子13回以上)が基準値となり、 基準値に達しないものがひとつでもある場合は不合格です。

海上保安大学校学生、海上保安学校学生の身体基準は、
身長(男子157cm以上、女子150cm以上)、体重(男子48kg以上、女子41kg以上)
視力(裸眼又は矯正視力がどちらも0.6以上)、色覚(職務遂行に支障ないこと)
聴力(いずれの耳も2000、1000、500各ヘルツでの検査結果をもとに算出した聴力レベルデシベルが、40デシベル以上の音の失聴でない)
四肢運動機能正常。(海上保安学校学生海洋科学課程は身長・体重の基準なし)
体力基準は、反復横跳び20秒間(男子44回以上、女子37回以上)、 上体起こし30秒間(男子21回以上、女子13回以上)、鉄棒両手ぶら下がり(10秒以上)が基準値となり、 基準値に達しないものがひとつでもある場合は不合格です。

航空保安大学校学生採用試験では、身体基準が設けられています。いずれかに該当する場合は不合格になります。
航空情報科(色覚に異常がある、片耳でも次のいずれかの失聴がある(3000ヘルツで50デシベル以上、2000ヘルツで35デシベル以上、 1000ヘルツで35デシベル以上、500ヘルツで35デシベル以上))
航空電子科(色覚に異常がある)